シネマウルフ

『あいときぼうのまち』原発の問題に立ち向かう大いなる家族の物語

強靭なドラマの世界に身を任せる快感! 『あいときぼうのまち』を震災と原発事故を描く社会派映画とくくり、それで足を運ぶのを躊躇している人は多いかもしれない。それ以前に、この作品がフィクション映画の常識に反して「東京電力」の企業名をそのまま出し…

Blankey Jet Cityのドキュメンタリー映画『VANISHING POINT』公開決定!

2000年の衝撃的な解散宣言から13年、ブランキー・ジェット・シティのラストツアー密着映像が ドキュメンタリー映画となり、2013年1月26日(土) に全国公開されることが決定した。 本作『VANISHING POINT』は 2000年5月から6月にかけて行われた ブランキー・…

『1+1=1 1(イチタスイチハイチ イチ)』

『ストロベリーショートケイクス』や『スイートリトルライズ』で端正な恋愛群像劇を綴ってきた矢崎仁司監督。その作品はとても独特な世界観を持っていた。不安や孤独や情念というドロドロした感情を、至近距離から残酷なほど生々しく映し出すのだけど、視線…

若松孝二監督新作『11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち』初日舞台挨拶レポート

若松孝二監督の新作『11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち』が、6月2日に初日を迎えました。先月25日にカンヌ国際映画祭「ある視点」部門で上映され、若松孝二監督と三島由紀夫役の井浦新さん、森田必勝役の満島真之介さんがレッド・カーペットを歩く姿やス…

『SR サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』 堕ちた末の魂の咆哮

北関東の寂れた町を舞台に、「ここではないどこか」を夢見ながらも飛び出しそこねた若者があがく姿を描いた『SR サイタマノラッパー』。長回しのカメラが挫折した青年/女子を追い詰め、残酷さにいたたまれない思いでいると、彼らがカメラを見返しスパークす…

塚本晋也監督作『KOTOKO』初日舞台挨拶レポート

鬼才・塚本晋也監督が、敬愛してやまないアーティストのCoccoを主演に作り上げた『KOTOKO』。暴力に満ちた世界で幼い我が子を育てる母親の恐怖と苦悶を、Coccoはときに儚げに、ときに荒れ狂い、全身全霊を込めて演じて、初お披露目となった昨年9月の第68回ベ…

わたなべりんたろう監督作『3.11 日常』初日トークショー

映画ライターのわたなべりんたろうさんが初監督したドキュメンタリー映画『3.11 日常』が、12月24日より池袋シネマ・ロサにてレイトショー公開されています。東日本大震災以降感じた「何かしなければ」との切実な思いから小出裕章助教への取材を敢行し、ネッ…

「SPOTTED701/VOL.18」発売中!

映画や音楽などインディーズ・カルチャー情報を満載した不定期ミニコミ誌の「SPOTTED701」(発行・スポッテッドプロダクションズ)最新号が発売中です。今回はPDF版にての配本。ボリュームはそのままで雑誌が700円だったところ250円と、とてもお得になってい…

『アジアの純真』初日舞台挨拶レポート

極東の片隅で出会った在日朝鮮人の少女と日本人の少年が、クソみたいな世の中を変えるため、毒ガスを手に旅に出る……。アートで尖った青春映画の意欲作であるにも関わらず、民族という難しい問題を扱ったため2年以上も公開の目処が立たなかった『アジアの純真…

『UNDERWATER LOVE-おんなの河童』初日舞台挨拶レポート

カルト的な人気を誇るいまおかしんじ監督が、ドイツのピンク映画ファンからの熱烈なラブコールを受けて制作した日独合作ピンクミュージカル『UNDERWATER LOVE-おんなの河童』。 撮影はウォン・カーウァイ監督作など世界を股にかけて活躍するクリストファー・…

『アジアの純真』主演韓英恵さんインタビュー記事がINTROにアップされました

見て見ぬふりはもうヤメだ!拉致事件に憤る日本人が反朝鮮感情を高めた2002年。チマチョゴリを着た少女がチンピラの犠牲となり、その勝ち気な妹と、彼女を救えなかった気弱な少年とが「世界を変える」ために毒ガスを手に取り旅に出る……。脚本家の井上淳一さ…

『エッセンシャル・キリング』イエジー・スコリモフスキ

長い沈黙を破って発表した『アンナと過ごした4日間』(08)で熱狂的な再評価を受けたイエジー・スコリモフスキ監督の新作が、中東を舞台にしたヴィンセント・ギャロ主演のアクションものだと聞いたときには大いに驚いた。そんな大作を撮ってしまうのか、と。…

『ふゆの獣』初日舞台挨拶レポート

昨年の東京フィルメックスで自主映画ながら最優秀作品賞を受賞した『ふゆの獣』が、7月2日、テアトル新宿にてレイトショー公開されました。上映前には舞台挨拶が行われ、加藤めぐみさん、佐藤博行さん、高木公介さん、前川桃子さんのキャスト全4人と内田伸輝…

『見えないほどの遠くの空を』東京初日舞台挨拶レポート

劇場支配人、プロデューサー、脚本家など様々な形で日本の映画界に携わってきた榎本憲男さん。監督デビュー作となる『見えないほどの遠くの空を』が6月11日、ヒューマントラストシネマ渋谷で公開となり、1回目の上映前に初日舞台挨拶が行われました。 後列左…

フリーペーパーVol.5を発行しました!

東日本大震災以来初めてのブログ更新です。被災された方々に、心からお見舞い申し上げます。今夜も大きな余震が立て続けにあり、原発への心配も日に日に膨れ上がり、まだまだ渦中の様相ですね。気を引き締めて収束を祈るばかりです。そしてもちろん自分にで…

『kocorono』川口潤監督×樋口泰人さんトークショー採録 〜3月5日@吉祥寺バウスシアター

大好評上映中の映画『kocorono』。3月5日にはバウスシアターでの上映前に、川口潤監督と、批評家でありレーベルboidを主宰する樋口泰人さんによるトークショーが行われました。 樋口さんと言えば爆音上映。目下もバウスシアターで6月下旬より開催される爆音…

3月3日『スコット・ピルグリム』公開記念イベント@渋谷Tabera

『ショーン・オブ・ザ・デッド』『ホット・ファズ 俺たちスーパーポリスメン!』でコアなファンを持つエドガー・ライト監督が、最新作『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』のGW公開を前にして現在来日中。3月3日には渋谷のカフェTaberaで歓迎イベ…

ブラッドサースティ・ブッチャーズ、吉祥寺を凱旋! 2月19日『kocorono』バウスシアター初日舞台挨拶レポート

先週末から吉祥寺バウスシアター、そして名古屋シネマテークで公開となり、いよいよ日本各地へのツアーに出た映画『kocorono』。バウスシアターでは初日の上映前に舞台挨拶が行われ、シアターN渋谷のときと同様、バンドのメンバーの吉村秀樹さん、射守矢雄さ…

ブラッドサースティ・ブッチャーズの今を解き明かすドキュメンタリー映画『kocorono』初日舞台挨拶レポート

1987年に札幌で結成され、以来20年以上にわたって珠玉の名曲を生み出し続けるブラッドサースティ・ブッチャーズ(以下ブッチャーズ)。彼らの赤裸々な姿を『77BOADRUM』の川口潤監督が追ったドキュメンタリー映画『kocorono』が、2月5日、シアターN渋谷にて…

松江哲明監督最新作『DV』発売&タイバンイベント『DV Fes』開催!

傑作ドキュメンタリー『ライブテープ』に続いて再びミュージシャンの前野健太とタッグを組んだ松江哲明監督の新作DVDが、2月13日に発売されます。ニューヨーク、ドイツ、福岡、弘前、高円寺、渋谷……。世界中を飛び回る姿を1年以上にわたって追い、100時間以…

2010年人レビ活動報告

松の内も過ぎてしまいましたが、あけましておめでとうございます。昨年はひよっこメディアの人レビをご愛顧いただきありがとうございました。 なかなかブログは更新できませんでしたが、今年はレビュー、レポートやニュースの発信をまめにして活用していきた…

全回満員御礼!『ハーブ&ドロシー』初日レポート

11月13日(土)、渋谷のシアター・イメージフォーラムで初日を迎えた『ハーブ&ドロシー』。日本ではなかなか配給が付かなかったけれど、映画の素晴らしさに惚れ込んだ有志の応援団による草の根運動的な、かつとても的を射た(美術館での先行上映会など)宣伝…

フリーペーパーVol.4が発行となりました!

映画祭で大忙しでしたが、そんな中フリーペーパーの「人レビ」Vol.4を発行いたしました。 今号では11月13日公開の『ハーブ&ドロシー』をフィーチャーしています。 ギャラリーやアーティストのアトリエに地下鉄で通い詰めては、自分たちのお給料で買える値段…

本日開幕!第23回東京国際映画祭 〜コンペティション部門先取りレビュー〜

今日10月23日(土)にいよいよ開幕となる第23回東京国際映画祭。六本木ヒルズをメイン会場に世界各国から数多くの映画人が集結し、選りすぐりの映画200本が上映される。 映画祭の花形企画と言えばコンペティション。832本の応募作から選び抜かれた15本が、東…

陽光溢れる古都で、幻影を追う男の妄執を描く〜『シルビアのいる街で』

今、恋は男がするもの……、という時代なのだろうか。『アンナと過ごした4日間』、そして『(500)日のサマー』と、不器用に、ひとりよがりに、男が女を想う映画が立て続けに話題を呼んできた。それらと同じように女の名前をタイトルに刻み、想いを凝縮させた3日…

全米No.1コメディを見逃すな!『ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』いよいよ公開!

大スターの出演なし、3500万ドルの低予算で作られたにもかかわらず、09年6月にアメリカで公開されるや『カールじいさんの空飛ぶ家』を蹴落とすヒット作となった『ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い』。口コミが口コミを呼んで、興収は全米…

「人レビVol.3」が発行となりました!

フリーペーパーの「人レビ」、いよいよVol.3発行の運びとなりました。 第1特集は『結び目』の小沼雄一監督&脚本家の港岳彦氏インタビューです! 先週末に劇場公開を迎え、評判を呼んでいる『結び目』。派手さはないものの、いい映画を撮ろうという思いで結…

『結び目』小沼雄一監督&脚本家・港岳彦氏のインタビュー記事がINTROにアップされています!

映画情報サイトのINTROに、人レビが取材した『結び目』の小沼雄一監督、脚本家の港岳彦氏のインタビュー記事がアップされています。 ヒットしてナンボの商業映画のセオリーから離れて、とても純粋に大事に作られた希有な作品、『結び目』。 小沼監督と港さん…

瑞々しい映像と確かな演技で魅せる大人の恋愛映画〜『結び目』

それぞれの結婚生活を淡々と送る男女が町のクリーニング店で出会う。かつて女子中学生と教師という禁断の間柄で激しい恋に落ち、あっけなく引き裂かれていたふたりの、14年ぶりの再会だった。封じ込めていたはずの彼らの熱情は、この偶然にとめどなくほとば…

『ライブテープ』が吉祥寺に帰ってきた!前野健太路上ライヴ

ミュージシャンの前野健太が元日の吉祥寺の街をアコギを抱えて歌い歩く。その姿を74分1カットで捉え切った斬新なドキュメンタリー『ライブテープ』。昨年の東京国際映画祭「日本映画・ある視点」部門でグランプリを獲り、年末に吉祥寺バウスシアターで公開さ…