ブラッドサースティ・ブッチャーズ、吉祥寺を凱旋! 2月19日『kocorono』バウスシアター初日舞台挨拶レポート

kocoronoバウス初日舞台挨拶

先週末から吉祥寺バウスシアター、そして名古屋シネマテークで公開となり、いよいよ日本各地へのツアーに出た映画『kocorono』。バウスシアターでは初日の上映前に舞台挨拶が行われ、シアターN渋谷のときと同様、バンドのメンバーの吉村秀樹さん、射守矢雄さん、小松正宏さん、田渕ひさ子さん、そして川口潤監督が登壇しました。すでに映画への反響がたくさん寄せられ、みなさんの映画への思いもぐっと深まってきていたようでした。

左から吉村秀樹さん、射守矢雄さん、小松正宏さん、田渕ひさ子さん、川口潤監督

最初に川口監督が「吉祥寺のいせやとかバウスシアターで撮影したシーンもありますので、吉祥寺で観てもらえるのはすごく嬉しいです」とおっしゃったとおり、吉祥寺はブッチャーズにとって、実はとても縁深い街。バウスシアターは以前はライヴ会場としても使われていて、小松さんが加入してからのブッチャーズが初めて東京でライヴをやったのもバウスシアターだったそう。ということで小松さんにとっては特に思い出深い街らしく、「ブッチャーズが3人の頃、成蹊大学近くのビートカンという練習スタジオをよく使っていたんですが、こないだ吉祥寺でライヴをやったときに見に行ったらなくなっていましたね」と残念そうに語っていました。

吉祥寺の顔とも言うべき焼き鳥屋のいせやは、映画でもキモとなるシーンで2回も出てくるとおり、昔から馴染みの店のようです。「大体このへんは俺の通学路みたいなもんだね、いせやに行くまでの。ママチャリに乗って通ってたよ」との吉村さんの発言に、「通学路!いせや大学ですか?」と笑いが起こりました。

ツイッター上でも盛り上がっている『kocorono』。吉村さん自身もかなり熱心につぶやいたり観た人の感想をリツイートしたりしていますが、これについては「自分のバンドの映画ではあるんだけど、どちらかと言うと客観的に観れるので宣伝しやすい」と冷静な答えが返ってきました。ひさ子さんも「僕たちが出てますけど、川口監督の映画です」と言っていましたが、メンバー本人たちにとっても新鮮な気持ちで向き合える作品となっているのだということが分かって興味深かったです。

ツイッターなどでの感想の中で特に多いのが、射守矢さんの言葉にグッときた!というものですが、ご本人は「どの言葉のことか分からないです。大体酔っ払っているシーンが多いので、何を言ったか覚えてない……」と照れ笑いを浮かべます。そんな射守矢さんの様子を横から眺めながら、吉村さんが「帽子の毛玉がすごいね」と茶々を入れると、射守矢さんは「北の国からなんで」と素朴さをアピール(?)。「多分そこなんだよ、魅力は」と納得顔の吉村さんでした。

バウスシアターでは現在、小松さんが出演する『アブラクサスの祭』もレイトショー上映中。完全に小松祭りとなっています。ここでも吉村さんが「俺、その映画のタイトルは言えません。アブ、アブ、アブラ……クサス?覚えた!」と笑いを誘っていました。
この作品はいろいろな意味で生々しい作品となってはいますが、川口監督としては生々しさを売りにしているつもりは全然なく、むしろそこで苦労したとのこと。「僕としてはいせやで打合せとかはしてほしくなかったんですね、騒がしくて声が聴き取りづらくなってしまうから。でも結局生で行くしかないし、そういうカットを選ぶかどうかも含めていろいろ悩みましたが、やっぱりおもしろくなるようにと考えながらまとめていきました」と語っていました。

と、この日も軽妙なトークが弾んでいましたが、締めの挨拶はなかなか深い言葉が多かったです。ひさ子さんは「ハッピーエンドや大成功で終わっている映画ではなく、バンドをやっている人もそうでない方も、共感できるところがあるかもしれないです。よく観ていってください」と。川口監督は「劇場だと途中で止めたり逃げたりできないので、おなかいっぱいになるかもしれませんが、自分なりの答えを出せる映画だと思います」とおっしゃっていました。
そして最後の最後に吉村さんが言った言葉もとても印象的でした。「ハコ(=映画館)で集中力で観るべきドキュメンタリーだと思います。これがDVDとかだとどうかなというのがあって。今、リアルに体験するのがいいと思います」。
なんだかブッチャーズも映画作りや興行について興味を持って真剣に考えているんだな、ということが(僭越ですが)感じられるような舞台挨拶でした。
バンドの歴史や感情やエネルギーが凝縮されて絡み合い、すぐには消化できないかもしれませんが、とにかくこの作品を丸ごと受け止めたら何かが自分の中で生まれるはず。そしてぜひ映画館で多くの人と一緒に観て、一体感ではなく個人個人の反応の違いを肌で感じるのが、この映画らしい楽しみ方だと思います。映画館に足を運べる人は、ぜひ観に行って彼らの思いも受け取ってほしいと思います。


★劇場情報★<北海道>
4/9(土)〜 ユナイテッド・シネマ札幌 011-207-1110 <宮城>NEW!!
4/9(土)〜4/15(金)レイトショー フォーラム仙台 022-299-5555 <東京>
2/5(土)〜3/25(金) シアターN渋谷 03-5489-2592
2/19(土)〜 レイトショー 吉祥寺バウスシアター 0422-22-3555 <愛知>
2/19(土)〜3/4(金) 20:10 名古屋シネマテーク 052-733-3959 <大阪>
2/26(土)〜3/11(金) レイトショー シネマート心斎橋 06-6282-0815 <広島>NEW!!
3/20(日)〜レイトショー 横川シネマ 082-231-1001<福岡>
4/2(土)〜4/8(金)  シネ・リーブル博多駅 092-434-3691 <沖縄>
5/7(土)〜 桜坂劇場 098-860-9555


・小松さんが出演する『アブラクサスの祭』の吉祥寺バウスシアターでの上映は、2月25日(金)までとなっています。24日(木)は一夜限定の爆音上映となり、主演のスネオヘアーさんと加藤直輝監督の舞台挨拶も決定しています。詳しくはコチラ

・2月5日シアターN渋谷での初日舞台挨拶のレポートはコチラ

・INTRO掲載の川口潤監督インタビューはコチラ



kocorono 2010年 日本
監督・脚本・撮影・音響・編集:川口潤 製作:重村博文、宮路敬久
音楽・出演:bloodthirsty butchers吉村秀樹射守矢雄小松正宏田渕ひさ子)ほか
製作担当:長谷川英行、近藤順也、渡邊恭子(ナベちゃん) 制作:アイランドフィルムズ 協力:リバーラン
製作:映画「kocorono」製作委員会 配給:日本出版販売 提供:キングレコード+日本出版販売
2010年/日本/カラー/116分/ (c)2010 「kocorono」製作委員会
公式サイト